幻の酒米「雄町」復活の軌跡
“幻の米”と呼ばれた酒米「雄町」は、酒造りの歴史を支えてきました。
現在では山田錦が特に有名ですが、「雄町」は、それら多くの酒造好適米の“祖先”（親）にあたります。
かつては、「品評会で上位入賞するには雄町で醸した吟醸酒でなければ不可能」とさえ言われている程でした。
しかし、その「雄町」は病害虫に弱く、背丈が高いため倒れやすく、戦後の農業の機械化に適応できませんでした。
そのため、農業が近代化されるに従って「雄町」は作付面積が減り、大幅に生産が落ち込むこととなりました。
「地の米・地の水・地の気候と風土で醸してこそ、地酒は真の地酒たりうる」
利守酒造はその信念のもと、「雄町」の復活に挑みました。
四代目 利守忠義氏は、熱心に地元農協や町役場、農家を訪問し、説得を続けました。
徐々に賛同を集め、ついに利守酒造が農家に所得保証をするなどのリスクを背負うことで、雄町の栽培を復活させることができたのです。
「雄町」の復活は、やがて「赤磐雄町」という名酒を生み出し、数々の受賞へとつながっていきます。
昭和59年には「赤磐雄町・純米大吟醸」が全国新酒鑑評会金賞の栄誉を獲得したことを皮切りに数々の賞を受賞し、「赤磐雄町」はその評価を不動のものとしました。
“幻の酒米”の復活に間違いなかったことを確信した忠義氏は、その後も「雄町」の普及に尽力し、現在では自社田での生産を増やしています。
この地域貢献に資する取組みが高く評価され、忠義氏は第78回山陽新聞社賞【産業功労の部】を受賞致しました。
この取り組みは、単なる米づくりではなく、日本の伝統的な地域文化と酒造りを未来へつなぐ重要な役割を果たしているのです。
▲2020年1月 忠義氏の雄町復活の取組について山陽新聞賞 【産業功労の部】受賞
日本の伝統文化を海外へ―海外から高く評価される『酒一筋』ー
▲7月5日・6日に開催された「メルボルン・サケ・フェスティバル2025」に参加した様子
日本酒の国内消費量はピーク時に比べ、減少傾向にあります。
そのような中でも、利守酒造は、引き続き国内の普及に注力すると同時に、海外に対しても自社の商品のPRに取り組んでいます。
海外の品評会にも積極的に参加し、2017年から開催されているフランスで行うフランス人のための和酒のコンクール
『Kura Master』にて「酒一筋 純米 幻の米」が2025年度 純米酒（66-100%）部門のプラチナ賞を受賞しております。
この商品は、今後発売を予定しており、器は備前焼の陶器を採用します。
この器は、
「雄町」の藁を使用して焼き上げており、まさに幻の酒米による「幻の酒」です。
▲
酒一筋 純米 「幻の米」：『Kura Master』2025年度 純米酒（66-100%）部門プラチナ賞受賞酒
・米の旨味を十二分に引き出した酒一筋ならではの”純米酒”
・純米酒ならではの旨味と酸味の絶妙なバランスが料理を引き立てる
また、2025年3月には、
スペイン政府公認の国際酒類コンクール「CINVE」にて、「赤磐雄町 純米大吟醸」が見事金賞を受賞しています。
直近では2025年7月5日・6日に開催されたオーストラリアでの「メルボルン・サケ・フェスティバル2025」に参加し、現地顧客との交流を図り、PRに注力しました。
現地では、
「オーストラリア・サケ・アワード2025」で金賞を受賞した「赤磐雄町 純米大吟醸」が展示され、その高い評価が改めて認知されました。
▲
受賞酒：赤磐町 純米大吟醸：オーストラリア・サケ・アワード2025 金賞受賞
・幻の米と呼ばれる「雄町」を復活し、精魂込めて醸した純米大吟醸酒
・口中で広がる「雄町」ならではの米の旨味が堪能できる一品
事業継承を経て、これからの利守酒造
▲（左）四代目 利守忠義氏、（右）五代目 利守弘充氏
2025年5月に四代目 忠義氏のご子息である弘充氏が利守酒造の五代目蔵元当主に就任致しました。
弘充氏は、忠義氏の功績について
「私にとって大きな指針であり誇り」と話します。
忠義氏がこれまで切り開いた「雄町」の復活による地域との共創文化を継承し、弘充氏が果たすべき自身の使命は、
「「雄町」の素晴らしさをさらに多くの人に知っていただき、日本国内にとどまらず、世界中の方々にその魅力を発信していくこと」と考えています。
＜五代目当主 利守弘充氏から皆さまへメッセージ＞
皆さま、このたび、利守酒造の五代目を継承いたしました利守弘充と申します。
先代である四代目・利守忠義が築き上げた酒造りの伝統と、「雄町復活」という挑戦の志を、しっかりと受け継ぎ、更に次の世代へとつないでいく決意でおります。
私が子どもの頃から見てきたのは、父が「酒一筋」の名のもとに、情熱をもって酒造りに取り組む背中でした。
地域、そして全国の皆さまに支えられながら、「雄町」という幻の酒米を復活させ、その魅力を発信してきました。
これからの利守酒造は、その魅力を世界へ向けて伝えてまいります。
変化を恐れず、しかし本質はぶらさず、さらなる品質向上と地域に根ざし、地域と共に発展する酒造りに挑んでまいります。
今回のファンドは、まさにその第一歩。
新たな体制のもとで、酒蔵の未来をともにつくってくださる出資者の皆さまとのご縁を、心より大切にしたいと考えています。
どうか、私たちの挑戦に、温かい応援とご支援を賜れますよう、心よりお願い申し上げます。
五代目当主
利守弘充
食用米の価格高騰を受け、酒米も今大きく値上がりしています。
本ファンドの資金は酒米の仕入資金に充当されます。
このファンドは、あなたの出資が酒一筋の利守酒造を支え、お酒となってあなたの元へ届く仕組みです。
幻の酒米「雄町」を未来へつなぐ。
新たな利守酒造に、あなたの一口の応援をお願いします。
